ヘルプ

2020_0802_133817 出発進行!

写真: 2020_0802_133817 出発進行!

写真: 2020_0223_114533 踏切作動反応灯

信号の概念のひとつにルートシグナルという考え方があります。
この先に進んで良い、悪いを示す信号です。昔あった腕木式の信号は典型的なルートシグナルで腕が水平の時は「止まれ」斜め下の時は「進め」でした。そして進むときのスピードは信号とは別に設けられた標識に従いなさい、というものです。
分岐のあるところでは開通している方向の信号が「進め」となっているので、制限の厳しい分岐側が「進め」となっていれば運転士さんはそれに応じた速度に減速して進まなければなりません。
また、単線区間では対向列車の有無、駅では発車時刻が来たかどうか、を見て「止まれ」「進め」が表示されます。

概念のもうひとつはスピードシグナルという考え方です。
この先、どれくらいの速度で進むかを示す信号です。
最も一般的なものは色灯3位式信号、いわゆる赤黄緑の信号です。
赤(停止)は速度0、黄(注意)は45キロ,緑(進行)は標識の制限速度まで制限なしを示します。
5灯式だと黄黄(警戒)25キロ、黄緑(減速)65キロ など、細かくなります。
これは直前を走る電車との距離を見て出されます。
(3灯式の自動信号機だと3つ先の信号までの間に電車がいなければ緑、2つ先なら黄、1つ先なら赤が出ます。)
この色灯3位式自動信号器を大正4年、日本で最初に米国から輸入して全線に設置したのはこの京阪電車になります。これで追突の心配なく昼間の8分間隔の3本に1本を急行電車として運転することができるようになりました。(それ以前は最終電車が出た後、十分に間隔をとって1本だけ急行電車を運転しており好評でしたが、追突が怖くて本数の多い昼間には運転できなかった運転ようです。)

現代の地上式の信号機はルートシグナルをベースにスピードシグナルの要素を加えたものになっています。止まれ(赤)と進めの表示ですが、進めの中に緑、黄といったスピードシグナルの要素が組み込まれています。

一方、新幹線や一部の地下鉄や通勤路線で採用されている車上式信号機は典型的なスピードシグナルで、運転士さんは車上(運転席のパネル)に指示された速度だけを頼りに運転しますので、分岐で分岐側に開通していてもそのことはどこにも表示されず、運転士さんには分岐に応じた「速度」が指示される、というものです。
新幹線は速度が速すぎで地上の信号を見ていられない(赤信号が見えてからブレーキをかけても間に合わない)ことから車上式が採用されています。
また通勤路線では、電車の間隔が詰められるように、地上式では3灯式→5灯式にして細かく刻む工夫をしていますが、車上式では信号の立っている位置に依存せず、ブレーキで止まれる最低限の間隔で速度を指示すれば良いのでさらにギリギリまで詰めることができます。
さらに近年では前を走る電車の距離だけでなく、止まっているのか、走っているのか、走っているなら何キロがまで加味して信号を出すことでさらに目いっぱいまで詰める、ということまで実用化しています。


さて、話は地上式信号に戻りますが、駅の各ホームの先端や少し先には写真のような「出発信号」と呼ぶ信号が設けられています。
この信号には、駅から先に進んで良いか悪いか、の意味と、進むならその速度はいくらまで、という意味が含まれています。

昔は駅長さんが信号を切り替えていましたが、今は通常は集中指令所のコンピュータが、異常時には司令員がマニュアル介入して切り替えています。

駅を出発するときに運転士さんが「出発進行!」と指差喚呼してはりますが、
これは「出発信号器」が「進行」(緑)を現示している、という意味になります。
ラッシュで前の電車がつかえている一方、後続の電車も迫っている状況では、
「出発注意、制限45!」(黄色現示)とか言いながらノロノロと発車していく風景もよく見かけます。

お気に入り (9)

9人がお気に入りに入れています

コメント (9)

コメントするにはログインが必要です。フォト蔵に会員登録(無料)するとコメントできます。